幻が視る固定未来
片手でしっかりと握りなおし、もう一振りしようとした時、黄龍が不意に笑って言う。

「残念だ、どうやらゲームオーバーのようだ」

意味が分からない。けどこの防御する気の一切なく、全く動かない。これなら勝てる。
私は目の前の勝利に目がくらんでしまった。普段ならもっと注意力があったはず……接近する存在に気がつけたはず。

「武具龍砲<ドラゴンブレス>」

耳には入った言葉だった。しかしそれを確認するまでには至らない。確認するとするなら振り下ろしてから。
しかし振り下ろすはずのカマイタチが弾かれ、そして私の腕に何か刺さり吹き飛ばされる。

「く」

何が起きたか分からない。
着地は出来たものの衝撃力はかなりのもの。腕を見て何が飛んできたのか分かった。

剣。

日本刀によく似ている。

最初は矢だと思ったものは剣だった。これを投げたということ? それよりも投げた相手は?
黄龍に視線を戻した時、まるで今まで消えていたのが急に見えるようになったかのように、そこには紺色の長髪の女がいた。その手にはしっかりと剣と鞘が握られている。
そして放つものは神素。これほどまでの神素は灼蜘以上。つまりこの女、青龍の可能性が高い。
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