幻が視る固定未来
「大丈夫か光弥」
「分からない、た、助けて姉さん」

背を向けて黄龍を心配する青龍。
やられた。黄龍は青龍の弟として生きていたらしい。
詳しくは全く分からない。けどこの段階では青龍は完全に誤解している。教えなければ青龍が危険。

「貴女は、」
「残念だ……」

また消えて現れた。それも私の目の前に。

そして赤い血が吹き飛んでいる……誰の……私の?

青龍は再度黄龍まで移動し、私の血は一滴もかかっていない。それほどのスピードということ。

「がはっ」

駄目。しゃべれない。血があふれてくる。致命傷、これは早急に手当てが必要になる。

「残念だ。本当に残念だ。まさか玄武側が裏切ってくるとは」

違う。全ては黄龍が……言いたくても言えない。カマイタチも消え、唯一体を支えるものがなくなり、倒れる。
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