幻が視る固定未来
荒い呼吸音も何も聞こえない。
無音の世界に一人取り残される。
静かすぎるのに心臓があり得ないほど高鳴り一人混乱する。

これが夢であって欲しい。むしろこれは現実じゃない。きっと幻の世界にいるんだ。じゃないとそうでないと耐えきれない。

有希乃がどうなったのか、どうゆうことになっているのか理解などしたくない。理解してはいけない。認めない。絶対に認めない。
――けど、そんなことを思う刹那、急に有希乃の体が光出し、そして存在感が薄れていく。

何が起きている?
なんだこの光。

有希乃の体は光に包まれ遂には炎のような形になった。それは天に昇る魂のように感じられる。

嫌だ行くな有希乃。
認めないと、現実じゃないと言っているのにオレは天に昇ろうとする魂を否定する。

それはつまりもう一方のことを認めるということ。最初の否定を肯定に変えてしまうということ。
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