幻が視る固定未来
「来い有希乃」

オレは有希乃の死を認め、有希乃の魂を受け入れた。
有希乃が望み、そしてオレも全てを受け入れた完璧な受魂。


「あぁぁ!」


あふれてくる力。
全く制御の出来ない力にとうとう神素も暴走する。

溢れる神素が固まり鎧と化し姿が変わる。腕から脚まで、そしておそらく顔すらも別なものに変わっているのではないか。

有希乃の魂を受けとった時、温かみや優しさに触れたような気がする。
何よりも有希乃の気配がしたのは良かった。

だけど後からこみ上げてくるのは有希乃を救えなかった後悔と、それに対する怒りと青龍への恨み。
その感情も力に変わり、更に鎧が進化していく。
そこにいるのは恐らく悪魔のような存在であり、鬼神そのものだろう。

叫び声は何度も繰り返す。のどが潰れるまでという勢いで。
そして遂には涙を流し、大声で泣いた。
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