幻が視る固定未来
そんな時だった。
不意に聞こえた声。その声でなければ聞こえなかっただろう、聞き間違うはずのない声が聞こえた。

「泣いてるの灼蜘」
「馬鹿野郎。オレは玄武だぜ? 玄武はそう簡単には泣かないんだ」

そういって最後の涙を流し、有希乃に言う。
本当に聞こえたかは分からない。でもそれが有希乃の声でよかった。

泣きやんだオレは驚くほど冷静に思考が回る。何をしないといけないか、どうするできか。そしていつの間にはいつもの姿に戻っていて、そして神素も暴走していない。

そんな中、絶対にすることは有希乃の仇を取ること。きっと有希乃はそれを望んだりはしない。それでもこれだけは譲れない。だからオレは絶対に青龍を許さない。

そう、オレは心に誓った。
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