幻が視る固定未来
さて、そろそろこんな簡単過ぎる問題にも飽きてきたな。そういえばそろそろ雨が降ってくるんじゃないか?

オレは集中力が途切れ欠けていたせいもあってか不意に窓の外見ていた。
確か天気予報では夕方から雨じゃなかったっけ? 関心を持って見てないからあんまり覚えてないな。そういえば木下なら分かるんじゃないか。

「木下、今日の天気、いつ崩れるか分かるか」
「分かる」

そうだったな。分かるかって聞くんじゃなくて教えてもらわないといけないんだった。

「そうか、それでいつになったら雨は降るんだ?」
「一番信頼性のある天気予報では夕方六時前後。私の予想では後一時間もしないで降る」

オレはふと時計を見ると今は五時半くらい。
そろそろ降ってくる訳か……いや本当はどうでもいいことだったんだ。別にこの後にどかに出かける予定がある訳でもないし、雨が降って困る訳じゃない。
そうして天気のことが解決したオレはまた勉強を再開した。

――けど三十分もしないで雨が降り出してきた。どうやら木下の予想は間違っていたようだな。
そんな別に勝負をしていた訳でもないのにオレは勝ち誇った表情で木下を見た……けどそこにはすでに木下はいなかった。
ふと窓際を見ると、そこには木下がいてカーテンを当り前のように閉めていた。
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