幻が視る固定未来
「はぁぁ!」

神素を一気に開放する。それは満タンから空にするまでの勢い。

第一段階解放後、第二段階の守護四神の解放、これを最大限に開放。

……そして具現化する幻を開放……しない。まだ解放をする。イメージは火山の噴火よりも激しく熱く、台風よりも荒れている。
けど思うはいつも有希乃ことだけ。神素が切れたらまた有希乃に会えるかもしれない。そんな馬鹿げたことさえ正常に思える。それほど有希乃ことしか考えていない。

――何が反動だっただろうか。また視界が揺れた。そして目隠しでもされたように真っ暗に染まる。

これは知っている。オレは堕ちている精神の世界に。そうしたらまた有希乃に会える。

……違う!
逃げるな!
オレが会いたい有希乃は言葉だけじゃない。

「アァァ!」

堕ちる意識を固める。
まだまだオレは負けない。
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