幻が視る固定未来
「本気で殺す気じゃないと怖くないよ。私はそれを知っている。それに灼蜘君に殺されるなら嫌じゃないかもね」
「お前馬鹿か、死ねば全て終わるんだよ。何もなかったように消えていくんだよ」
「そんなことないよ。死んでしまっても残るものはある。死んでも人の心に残り続けることが出来る。大切な人ならなおさらだよ」
「……」

分からない。こいつどこまで理解して言ってる?
正直、奈々の言っていることは間違っていないと断言できる。オレの心に有希乃は生きている。

それを透かして見たかのような言葉。分からない。
けど、そんな言葉何かにあった言葉かもしれない。

そうだ、死んでも心に残る、なんていかにも小説とかに出てきそうじゃないか。

――ならどうして奈々の言葉がそうまで納得できる。
奈々の言動はまるで自分もあったかのように感じられる。
信憑性がある。まさかな。

「どう言葉を繕おうとも無駄だ」
< 349 / 383 >

この作品をシェア

pagetop