幻が視る固定未来
――さて、ここまで来れたか。後は有希乃に会うだけ、ってもういるんだよな。ここには。

「どうして、いつもそんな無茶をするの」

簡単なことだ。有希乃お前に会いたいからだ。

「死んだ者は生き返らない」

そうだ、オレはちゃんと分かってる。具現化するってことの意味、ちゃんと分かってる。
そんなするしかない、出来る出来ない、なんてどうでもいい。
要は有希乃、お前はオレに会いたくないか? また召使いとして働きたくないか。

……

しばらく待つが返答はない。
迷っているのか、答えられないのか。それは分からない。

有希乃、困っていることは口にしないと伝わらない。相手が理解できないなんて考えるな。話すことに意味がある。

「意味のないことだってある」

ないな。断言できる。だったら言ってみろ。受けとめてやる。なんでも。
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