幻が視る固定未来
一瞬で闇は去った。

まだ立っていたことに驚くがそれどころじゃない。

すでに具現化が始まっている。

見ればオレ自身、いつの日かの暴走のように自分自身が変化している。強力な神素の解放でそうなるのだろう。
けど、今はそんなことはどうでもいい。極限まで神素を開放して今まで通り有希乃を具現化する。もちろん、オレが想像する有希乃を。

全てにおいての共有化も忘れない。持てる神素は全部、有希乃の具現化維持に全てを当てる。

――その時、遅れること奈々がやってきたがそこはもう何も知らない世界だろう。まずオレが誰だか分かるまい。
化け物とでも叫ぶか。それでもいいさ。そんなことじゃヘコタレねぇよ。

「頑張って灼蜘君」

ふ、まさかそこまで理解するのかよ。オレである保障なんて分かりもしないで。

明らかに世界が違うんだ。震えて叫び出すのが普通だ。けどオレを拒絶しないでサンキューな、先に礼を言っちまったがちゃんとした言葉で伝えるぜ、有希乃を具現化した後に。

そしてオレは奈々の見守る中、有希乃を具現化した。
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