幻が視る固定未来
「でも大変だったのはその後かな。再婚した人が私のことを嫌っていつも悪口とか暴力をふるってきて大変だった。
お母さんの悪口を言うのは耐えられなかったけど、お父さんの悲しみを癒せるのは悔しいけど私だけじゃ足りなかったし、その人じゃないと出来なかったから。
だから私は理解することにしたの、きっとお母さんの悪口を言うのはそれほどお父さんを愛してくれてるからだと。それなら少しは耐えられる。何を言われても平気でいられた。だから灼蜘君が時々怒る時も全然怖くなかった」
「灼蜘は結局、相手にではなく自分にしか本気で怒れない」
「うん、私もそう思う。あれれ、怒りの矛先はどこに行ってるんだろうって思う時あったよ」
「灼蜘は分かりやすいから」

奈々は笑いながら頷いた。

恐らく奈々には全てを話しても大丈夫だろう。ある程度のことは母親から聞いているし、全てを信じている。

私の正体と灼蜘の正体、灼蜘に関しては私から言ってもいいものか迷うけどいい。何も言わないで終わりそうだから。
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