幻が視る固定未来
そうだ、奈々はオレが有希乃を具現化したのを見たはず。
そして神素の解放により変化したオレの肉体も見たはずなのに、どうして普通にいられる。

「見たんだよな」
「何を、かな?」

はっきりと言っていいものなのか。
きっと……いや、逃げることはない。相手は奈々だしな。

「オレが有希乃を具現化したところをだ」
「うん見たよ。すごいね、守護四神って、あんなことが出来るんだ」
「……そんな話を有希乃としてたのか」

奈々がうんとしようとした瞬間、扉が開けられ有希乃が登場した。

「奈々、正直に言った方がいい」
「あはは、そうだね。ごめんね灼蜘君……?」

オレは奈々の言葉が左から右に流れている。だってちゃんとした意識の中で、目の前に有希乃がいる。
やっと実感した、オレが具現化に成功したということに。
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