幻が視る固定未来
「あらら、私の声は感動に消されてる」

有希乃は無表情のまま、ゆたゆたと歩き持っているお盆をテーブルに乗せる。どうやらお茶を持っていたようだ。

なんだよ、オレもタイミングよく目覚めたって訳か。

「灼蜘、奈々には私から話しておいた。奈々のことを本人から」
「う、あ、ああ。そうだな。やっと自分の成功にありつけたんだ。ちょっと動揺した」
「分かってる。灼蜘がやったことは前代未聞。そして誇っていいこと」
「ありがとな、有希乃」
「……あぁ、ごめんね。私もいるからあんまりイチャつかれると困るかな」
「いや悪い奈々、話を聞かせてくれ」

ヤバかったな。完全に奈々の存在が消えてた。こいつは迂闊。

奈々の話を聞かないとダメだしな、簡単に守護四神なんて信用出来る訳がない。
落ち着いたオレは奈々から話を聞いた。
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