幻が視る固定未来
「……つまり、奈々もエデンの民の血を引いてるのか。それなら話が分かるな」

奈々は自分が半分、エデンの血を引いていることを話した。
そしてエデンの民であるお母さんは奈々を庇って亡くなった。
その時、庇った時に神素を使って奈々を守った。だから奈々は神素からエデンの民までの話を理解できる。

「私自身では何もできないし、理解するだけしか出来ないのが残念。灼蜘君や木下さんみたいに神素を使えない」
「それは体質だからしょうがないことだな。何も出来ないのに理解できるだけで十分凄いことだと思うぜ」
「ありがと。それじゃ私はそろそろ帰るね、灼蜘君も元気になったし話すことも話せたから」

奈々は立ち上がり帰る準備をする。
けど、オレは……いや“オレ達”はまだ言っていないことがある。

「奈々」

オレは立ち上がり有希乃を見てから奈々を見つめる。


「「ありがとう」」


オレは有希乃と声をそろえて礼を言った。オレを否定しないでくれたから有希乃の具現化が出来たし、ヒントもくれた。こんな礼一つじゃ足りないくらい。
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