幻が視る固定未来
「悪いな、オレは有希乃が好きだ。多分、この先変わらない」
「卑怯な言い方かもしれないけど、木下さんは灼蜘君が具現化した。だからそのことを知っている私にもチャンスはあるかなって思ってる。けど一番はこのまま仲のいい友達でいたいかな。今のところは」
「あぁそれがいいな」

けど、今のところって言うからには諦めはしないってことか。

オレが有希乃にもつ感情、このまま変わることはない。絶対に。

確かに有希乃はオレが具現化した“幻”かもしれない。
けどそれは誰から見ても木下有希乃という存在であり、有希乃自身だって魂があるんだから有希乃本人であることに間違いない。

オレは有希乃を見ながら思う。
このまま何も変わらないならそれでもいい、この先にどんな障害があろうとも、オレは……オレ達なら乗り越えられる。

「終わった」

そう思っている内に有希乃はセットを終了させた。

「分かった、まさかボタンまでは押してないよな?」
「……」
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