幻が視る固定未来
そう言った瞬間、カメラがピピッと機械音を鳴らして作動した。セルフタイマーをセットさせてきたようだ。

「初めての写真なのになんてことだ」
「くす」

オレがわざとらしくショックを受けると隣では奈々が笑っていた。有希乃は相変わらず無表情のまままたカメラをセットしてまた戻ってくる。

「今度は失敗しないようにしようね」
「有希乃、笑えよ」

何も言わずに頷くがきっと笑っていないだろう。
そうして今度はちゃんと写すことが出来た。現像までどれくらいかかるかというと、多分この家ならば簡単にできるだろうな。
< 375 / 383 >

この作品をシェア

pagetop