幻が視る固定未来
「はぁはぁ……」

肩で上下に動かして息をしているのはすでに限界が近いということ。それはオレ自身がよく分かっている。

助歌は何も言わずにただ黙って見守っている。
それもそうだろう。
助歌は普通の人、エデンの出身者ではなのだから。ただ母上に信頼されているからオレのトレーニングの付添をしているだけ。そうでもなければオレは一人でトレーニングしているだろう。

「――そろそろ限界のようですね。あまり無理をなさらずに今日はここで切り上げましょう」
「はぁはぁ、待ってくれ。最後に、もう、一回だけ」
「いえ、駄目です。やり過ぎは逆に体に毒です。それに今日はあまり集中が出来ていないようですので結果は同じことだと思われます」

助歌がここにいるのはこうゆう役割のため。無理してトレーニングを続けようとするオレを止めるために存在している。
もちろんそんなことを言われなくても分かっている。だけどやはり進歩のないことに対しては焦りが出てきて一回でも多くのトレーニングをしたい。だから結局無理をしようとする。
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