幻が視る固定未来
「失礼しました」
職員室を出てからオレは更に階段を上りある場所を目指す。
どこに向かっているか分かっていないだろうが木下は無言のままついてくる。
そうして着いた教室のカギを開けて木下と一緒に入っていく。
ちょっとカビのような独特の臭いのある教室。そして一面にある本棚は言うまでもなくここが図書室であることを示している。
木下が暇な時間にしそうなことを考えると読書しか思えず、だったらここに連れてこれば誰も来ないし静かだからいいだろうと思った。
普通ならば図書室は昼休みにこそ開いていそうだが、以前に盗難の被害が多く発生したらしく、鍵を先生から借りないと開けることが出来ないようになった。
だから午後から放課後まで鍵を貸して欲しい、なんて言われても貸す訳ないのだが、先生は簡単に貸してくれた。
オレが優等生とか成績がいいとか関係なく、恐らく幻視の名である種の反論が出来ないのではないか。別に貸してくれるならどうでもいいけど。
「それじゃ木下、オレはこのまま教室に戻るけど、闇雲にここから出るなよ?」
「了解」
「それとここの本は好きなだけ見ていいし、気に入ったのがあれば後で借りてやる」
「……ありがとう」
「お、おう。じゃ行くわ」
木下がありがとうか。礼を言われたのは初めてだな。ここに連れてきて良かった。
職員室を出てからオレは更に階段を上りある場所を目指す。
どこに向かっているか分かっていないだろうが木下は無言のままついてくる。
そうして着いた教室のカギを開けて木下と一緒に入っていく。
ちょっとカビのような独特の臭いのある教室。そして一面にある本棚は言うまでもなくここが図書室であることを示している。
木下が暇な時間にしそうなことを考えると読書しか思えず、だったらここに連れてこれば誰も来ないし静かだからいいだろうと思った。
普通ならば図書室は昼休みにこそ開いていそうだが、以前に盗難の被害が多く発生したらしく、鍵を先生から借りないと開けることが出来ないようになった。
だから午後から放課後まで鍵を貸して欲しい、なんて言われても貸す訳ないのだが、先生は簡単に貸してくれた。
オレが優等生とか成績がいいとか関係なく、恐らく幻視の名である種の反論が出来ないのではないか。別に貸してくれるならどうでもいいけど。
「それじゃ木下、オレはこのまま教室に戻るけど、闇雲にここから出るなよ?」
「了解」
「それとここの本は好きなだけ見ていいし、気に入ったのがあれば後で借りてやる」
「……ありがとう」
「お、おう。じゃ行くわ」
木下がありがとうか。礼を言われたのは初めてだな。ここに連れてきて良かった。