幻が視る固定未来
そうしてオレは教室に戻り二つの授業を受けた。

ちなみにオレが教室に戻るとまた視線を集めるが全くの無視をしてやった。
多分さっきのが誰だか聞きたいのだろうが、オレの最強結界を展開してるから話しかけてこないようだ。
全くもって便利なものだ。雰囲気次第で近寄らせたくないというのを伝えられるんだからな。言葉なんて必要なくなったりしてな。

――と、そんな馬鹿なこと言ってないで本当に木下は大丈夫だろうな。けど読書をすれば多分大丈夫だろう。

そうして未だに雨の降る中、最後のホームルームが終わる。

オレはカバンと傘を持ち、すぐさま教室から出る。途中に離しかけようと近寄ってきた女子がいたが声をかけられなかったからそのまま無視した。
確かあいつは木下に勉強を一瞬教えてもらった奴だな。礼でも言いたいのだろうか? もっと早く思い出せば話くらいは聞いたんだが、まぁもう教室は出てるししょうがない。

オレは帰宅する生徒で密集する廊下を誰にもぶつかることなくスムーズに図書室に向か
う。
木下のことは心配などしていない。だけど何故かオレの足は早足になっている。気がつけば図書室の前で、移動中何かに操られたような感覚だな。
あぁ良かった、電気が付いてるってことは中にいるだろう。最初から分かってはいるけど。
――だけどよく電気を付けたな。なんか木下なら薄暗い図書室の中で、ひっそりと本を読んでるイメージがあったからな。
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