幻が視る固定未来
同じ物を持っている分、操作も簡単に進み曲の一覧を眺める。

「ほぉ……」

思わず声を出して驚いてしまった。
どんな曲が出てくるかと思ったら案外普通で、最近のアーティストの新曲があり男女混合でみっちりと入っていた。
なんかオレの奴と似てるな。このひっそりとあるクラシックなんて特に。

「……なぁ」
「何?」


「これ、オレのだろ?」


「……」

返事じゃなくて頷きで返した。てことはやっぱオレのiPooじゃないか。どうりで似ていると思ったんだ。
オレは冒険に行き、最初に着いた町が出発した町だったくらい呆れて立ち尽くしていた。

「机の上にあった」

そうりゃそうだろうな。今日の朝、着替えをした時に置いたんだから。

「勝手に持ってきて、しかも自分の物のように使うってのはどうかと思うぞ? せめてオレに一言言ってくれ」
「了解」

真っ直ぐな瞳がオレを見ている。どうやら勝手に使ったことはそれなりに反省しているようだ。
< 47 / 383 >

この作品をシェア

pagetop