幻が視る固定未来
「分かればいいんだけどそんなに曲が聞きたかったのか? というか木下はこれ、持ってないのか」
「持ってない」

二つのことを聞いても返すのはどちらか片方だったな、木下は。

「聞きたい曲でもあったのか」
「別に。ただうるさかったから」
「何がうるさかったんだ?」
「……」

それ以上は木下も何も言わなかった。
シンとなってうるさく感じるのは……雨音ぐらいか。玄関とは正反対だし人通りも少ないしな。

些細な音とかが嫌いなのかもな。

オレはこれ以上何も聞かずただ閉められたカーテンを開いて行く。木下も自分の持ってきた本を二冊ほど棚に戻しに行った。

ちなみにiPodはそのままオレが持ってるし、今はカバンの中。今持ち物検査をされたら何を言われるやら。
そうしてオレ達は最初に図書室に来た状態に戻し、そして電気を消して歩き出す。
向かうのはまず職員室。鍵を返さないといけないから。
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