幻が視る固定未来
――案の定、木下は何事もなかったように部屋に戻ってきた。
ただオレは勉強中だったため、背を向けたままだったのだが恐らく間違っていないだろう。
戻ってきたことに対して「ただいま」の一言もないのは木下らしい。これでもし後ろを振り返って実は説教されて泣いていたら、オレは世界の崩壊日を知って実は明日だったくらい驚くだろうが、もちろんのことそんなことはない。木下は普通に椅子に腰かけながら読書をしていた。耳にはいつの間にかのイヤホンをつけて。
まぁ何を読んでいるのかは不明なんだけど、きっとオレの予想だにしないものを読んでいるのだろう。けどいつの間にオレの鞄からiPodを取り出したんだかな。
そんなこんなで結局、木下が戻ってきてからの集中力はほとんど勉強にはいかず、ただ休憩時間に何を聞くかで頭がいっぱいだった。
そして心の中で勝手にカウントダウンを始めて、やっと零になった瞬間、
「よし終わった」
オレはすぐさまに教科書を閉じた。はっきり言ってページは全然進んでいないけど気にしない。
「おつかれ様。でも進んでいない」
「まぁそんな日もある。それよりも助歌に何言われたんだ」
オレは椅子をクルッと一回転させて木下を見る。
木下はいつの間にか外していたイヤホンをベッドの上に置き、そして大した感動もなく答えた。
「別にこれといったことは言われてない」
「大体、どうして助歌から迎えの電話が来ていたこと黙ってたんだ? 迎えって車だろ? その方が楽じゃないか」
オレの何気ない質問に対して木下は、平然と「別に」とでも返すと思っていたが、首を傾げて瞳を閉じている。
ただオレは勉強中だったため、背を向けたままだったのだが恐らく間違っていないだろう。
戻ってきたことに対して「ただいま」の一言もないのは木下らしい。これでもし後ろを振り返って実は説教されて泣いていたら、オレは世界の崩壊日を知って実は明日だったくらい驚くだろうが、もちろんのことそんなことはない。木下は普通に椅子に腰かけながら読書をしていた。耳にはいつの間にかのイヤホンをつけて。
まぁ何を読んでいるのかは不明なんだけど、きっとオレの予想だにしないものを読んでいるのだろう。けどいつの間にオレの鞄からiPodを取り出したんだかな。
そんなこんなで結局、木下が戻ってきてからの集中力はほとんど勉強にはいかず、ただ休憩時間に何を聞くかで頭がいっぱいだった。
そして心の中で勝手にカウントダウンを始めて、やっと零になった瞬間、
「よし終わった」
オレはすぐさまに教科書を閉じた。はっきり言ってページは全然進んでいないけど気にしない。
「おつかれ様。でも進んでいない」
「まぁそんな日もある。それよりも助歌に何言われたんだ」
オレは椅子をクルッと一回転させて木下を見る。
木下はいつの間にか外していたイヤホンをベッドの上に置き、そして大した感動もなく答えた。
「別にこれといったことは言われてない」
「大体、どうして助歌から迎えの電話が来ていたこと黙ってたんだ? 迎えって車だろ? その方が楽じゃないか」
オレの何気ない質問に対して木下は、平然と「別に」とでも返すと思っていたが、首を傾げて瞳を閉じている。