幻が視る固定未来
どうやら考えているようだが、それって考えるようなことか? だって木下が返事をしたんだから、その時の理由の一つでも言えば納得できそうだが……。
それでも木下は悩んでいる? と思う。どちらかと言えば言葉を探しているという感じだろうか。それはひょっとしたら助歌に説教をされた影響もあるかもしれない。
「……一緒に帰ってみたかった」
ポツリと予想もしなかった言葉を口にする。
そして首を上げてただ真っすぐにオレを見つめる。
「オレに一緒に帰りたかった? なんでだ」
「ただなんとなく、あの時のそう思った。だから助歌の迎えを断った」
「そうか」
木下は一度だけ頷いた。
どうして一緒に帰ろうと思ったのかこれ以上は追及するつもりはない。だってなんとなくと言われたら聞き返すことなんて出来ない。
オレが別な話題を振ろうと思った時、先に話題を振ったのは意外にも木下の方だ早かった。
「灼蜘はクラスに友達がいない?」
「ああ」
オレはとりあえず理由も聞かずに答えていた。条件反射って奴だろう。
「でも、何でそんなことを急に聞くんだ」
「教室に行って灼蜘と聞いても反応がなかったから」
「クラスメイトはみんな、オレのことを幻視という苗字以上は何も知らないだろうな。別に気にしてはいないけど」
「ふーん」
「ついでに言うと友達なんてものは一人もいない。そういえば木下は友達とかいるのか」
「……いないことはない。けど、それは私だけがそう思っているだけ。だからいないのと一緒」
相手に自覚がないってことか。それって木下が友達って思ってるってことか。それってすごいな、相手が木下のことを友達と思うなら分かる。けどその逆となるとその相手が気になるな。
それでも木下は悩んでいる? と思う。どちらかと言えば言葉を探しているという感じだろうか。それはひょっとしたら助歌に説教をされた影響もあるかもしれない。
「……一緒に帰ってみたかった」
ポツリと予想もしなかった言葉を口にする。
そして首を上げてただ真っすぐにオレを見つめる。
「オレに一緒に帰りたかった? なんでだ」
「ただなんとなく、あの時のそう思った。だから助歌の迎えを断った」
「そうか」
木下は一度だけ頷いた。
どうして一緒に帰ろうと思ったのかこれ以上は追及するつもりはない。だってなんとなくと言われたら聞き返すことなんて出来ない。
オレが別な話題を振ろうと思った時、先に話題を振ったのは意外にも木下の方だ早かった。
「灼蜘はクラスに友達がいない?」
「ああ」
オレはとりあえず理由も聞かずに答えていた。条件反射って奴だろう。
「でも、何でそんなことを急に聞くんだ」
「教室に行って灼蜘と聞いても反応がなかったから」
「クラスメイトはみんな、オレのことを幻視という苗字以上は何も知らないだろうな。別に気にしてはいないけど」
「ふーん」
「ついでに言うと友達なんてものは一人もいない。そういえば木下は友達とかいるのか」
「……いないことはない。けど、それは私だけがそう思っているだけ。だからいないのと一緒」
相手に自覚がないってことか。それって木下が友達って思ってるってことか。それってすごいな、相手が木下のことを友達と思うなら分かる。けどその逆となるとその相手が気になるな。