幻が視る固定未来
――さて、一体どれくらいの時間オレはこうしていただろう?
オレの正確な体内時計でも、恐らく三十分くらいだと物語っている。
こんな所で何してるんだか。
もうここに立ち尽くしている理由すら薄れている。けど動機ははっきりしていたのが恐ろしい限りだ。
それが“木下有希乃”というたった一人の友達。
いや、もう考えてもしょうがない。きっとオレは何も言えない。言うつもりでも言えない。それこそ、今少しの決心のある内に有希乃が現れでもしないと。
……いや、これは願いではない。有希乃に来て欲しいなんて心の底から思ってない。ただの可能性の問題だったはず。
だと言うのに、
「――遅い」
と、文句を言いながら有希乃は現れてしまった。
考えてみれば当に訓練から戻っている時間は過ぎている。その後にすることは特にないのだが、強いて言うならば有希乃にオヤスミを言うくらい。
それは多分有希乃も承知の上。だけど待ち切れずに来てしまったのだろう。
いや待っててくれよ、本当に。オレは今、有希乃に会う訳にはいかないっていうのに……。
そうさ可能性の問題。
オレが有希乃に守護四神の玄武であり人外であることを話す可能性の問題。
それが今、そう今しかない。現れなどしなければオレは何も言わずにいられたんだ。
オレの正確な体内時計でも、恐らく三十分くらいだと物語っている。
こんな所で何してるんだか。
もうここに立ち尽くしている理由すら薄れている。けど動機ははっきりしていたのが恐ろしい限りだ。
それが“木下有希乃”というたった一人の友達。
いや、もう考えてもしょうがない。きっとオレは何も言えない。言うつもりでも言えない。それこそ、今少しの決心のある内に有希乃が現れでもしないと。
……いや、これは願いではない。有希乃に来て欲しいなんて心の底から思ってない。ただの可能性の問題だったはず。
だと言うのに、
「――遅い」
と、文句を言いながら有希乃は現れてしまった。
考えてみれば当に訓練から戻っている時間は過ぎている。その後にすることは特にないのだが、強いて言うならば有希乃にオヤスミを言うくらい。
それは多分有希乃も承知の上。だけど待ち切れずに来てしまったのだろう。
いや待っててくれよ、本当に。オレは今、有希乃に会う訳にはいかないっていうのに……。
そうさ可能性の問題。
オレが有希乃に守護四神の玄武であり人外であることを話す可能性の問題。
それが今、そう今しかない。現れなどしなければオレは何も言わずにいられたんだ。