幻が視る固定未来
ちなみに芳原がオレのことを『灼蜘君』と呼んでいるのは有希乃の影響。別に気にはしないからヨシとしている。

「また雨でも降ったら来てくれるのかな？」
「もう何回も雨は降ってるけど？」
「だったら雨の日に灼蜘君が傘を忘れればいいのかな」
「だから、そうまでして会いたいなら連れてくる。そんな回りくどいやり方はしない」
「ははは、冗談だよ。そこまで迷惑かけたくない。いつか不意にでも会えた時にお礼を言っておくね」

何故か一人楽しそうに芳原は笑っている。
オレは言うまでもなく有希乃のような表情だろう。
この教室ではあまり感情を出さない。それはいくら話すようになっても変わらない。自然と表情を出せるのは今でも有希乃ぐらいか。
そうしてオレは昼休みを芳原の話しを聞いて終わった。
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表紙・目次

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