幻が視る固定未来
そうして助歌と一緒に木下は客間を離れて行く。その去っていく姿も何と言うか助歌の背後霊みたいだな。

そうして他の召使い達も合図が出たかのように自分の持ち場に戻っていき、客間にはオレと母上だけとなった。

「灼蜘、もし木下を召使いしたくないのなら無理にはさせません。今からでも遅くはありませんよ」
「……いえその必要はありません。母上が必要だと判断したから木下が来たはずです。ならばオレが拒否する理由はありません」
「そうですか。ならば木下で困ったことがあればいつでも言いなさい」
「……はい、母上」

本当はあの無表情はちょっと困ると言いたかったのだが結局それは飲み込んだ。どうせ言っても変わることがないだろうから。
そうしてオレはまた勉強をするために自分の部屋へと戻った。
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