幻が視る固定未来
次の日になりオレは早速、芳原に疑問を聞いてみた。

「恋をするってことか……説明って難しいと思うし、言っても理解出来ないと思う。灼蜘君はどんな女の子がタイプなの?」

とりあえず恋愛をするという意味を聞いてみたが、やはりしっかりとした言葉はないようで、芳原は一番オレに理解出来そうな言葉を探すため質問してくる。
しかし、これはあくまで普通の人としての質問。オレが人外であり、それに見合う人が将来、勝手に決まっていることは伏せている。
故に芳原の質問はなんと返答すればいいか困る。

「分からない、な。きっといないと思う」
「そっか、だったら自覚がないんだと思うよ。それだときっと恋っていう言葉の意味よりも、好きっていうことがどうゆうことなのか知ればいいんじゃないかな? 例えば灼蜘君の好きなこと、趣味みたいなものは?」
「強いて言えるものはない。だけど勉学はそれに該当すると思う」
「う、やっぱりすごいね。私は勉強好きじゃないよ。やっぱり勉強をする時って楽しい?」
「いや、楽しいっていうよりも当たり前だった。だから毎日勉強しないと生活している気がしないみたいだ」
「それだと趣味とは違うかな? もっと楽しくなるようなこと、自分からしたいことが趣味であって好きっていうことだよ。あっ! そうだよ、恋はきっとその楽しいを共有して、その時に楽しいって思えたらひょっとすれば恋なのかもしれないよ。初な灼蜘君には」

突然閃いたらしく、芳原はやっと晴れたような表情で嬉しそうに答えている。
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