らしくないけど
俺のことをよく分かってるし、一緒にいて楽なのは間違いなくこいつだけど、どうしても男として好かれているようには感じない。
少なくとも俺から見た高野の態度は、女子が好きな男に向けるものじゃない。
「なあ」
「なに?」
パソコンに向き戻ってしまった高野は、さっきの態度が嘘かのように平然と答える。お前さっきまで怒ってたじゃん。
「高野さー」
「だからなに?」
俺のことほんとに好き?
「……何でもねぇ」
んなこと聞けるわけない。
何言ってんだって顔されんのなんて目に見えてるし、ここは職場で社員もいる。聞かれたら気まずいのは俺も高野も同じだし。無理。
「は?気になるんだけど」
「何でもないって」
「…変なの」
変なのはお前じゃん。
俺どっちかって言ったら常識ある方だと思うし、少なくとも俺だったら好きなやつにこんな態度とらねーし。
「加地くんってさ…」
「高野!」
「あ…山田くん」