らしくないけど

それだけ一方的に言うと、そのまま切れてしまった。ツー、ツー、と耳元で聞こえて、しばらく考える。

駅前の居酒屋?

高野が気に入ってるとこなんて、考えなくても1つしかないから分かるけど。

…山田の前で寝てんじゃねぇよ。


「…加地?」

「何て言ってたの?山田って誰?」

咲良も白城も何が何だかって感じで。

そりゃそうだよな。高野の携帯にかけてんのに山田出てるし、俺不機嫌だし。


…ほんとバカ。


「…ましでムカつく」

ガタッと勢いよく立ち上がれば、2人して驚いたように俺を見た。説明してる暇はない。上着と鞄を引っ掴んで、机の上にドンとお金を置いた。

「え、加地くん?」

「足りなかったら今度返す」

「え、なになに、帰んの?」

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