らしくないけど

俺が立ち上がったことで2人も咄嗟に立ち上がって、はたから見たら何してんだこいつらって感じだけど。

「奪い返しに行く」

俺のその言葉に咲良も白城も何が何だかって感じで見てたけど、何となく高野が関係してるってことは分かったんだろう。

「…頑張ってね、加地くん」

「負けんなよ!」

なんて言って笑った。


ここからそう遠くもない、山田が言ってた居酒屋は、俺も何度か高野と言ったことがある場所だった。

確か個室で、少し暗めのライトが印象的で。

それでも高級感あふれる居酒屋って感じじゃなかった気がする。

だから好きなんだって、高野が言ってたことを思い出す。少し賑やかなここが好きだと、俺と誠二を誘って。

…何で山田といんの?

俺だってお前と話したいのに。

話すこと、いっぱいあんのに。

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