らしくないけど

――――――
―――――――…

「あっつ…」

もう夏も終わりに近付いて少し暑さはマシになってきたのに、走ったから汗がにじむ。


そう遠くもなかったけど、ここに来るまでに色んなことを考えた。

もし高野が山田のこと好きだって言ったら、どうすればいいんだろう、とか。

そうじゃなくても、俺のこと好きじゃなくなってるかも、とか。

…んな、だっせぇことばっかり考えてるから、何も言葉が浮かばなかったんだろ。


「いらっしゃいませー」

入り口の店員さんに山田の名前を告げると、予約されてる山田様のお連れ様ですね、なんて言葉が帰ってきて。

出来た男だなって。

大抵予約なしでも入れるのに、ちゃんと予約してるとことか。

…俺とは全然違う。

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