らしくないけど

「…あのさ」

…考えても、仕方ないか。

現にこんな状況になってるわけだし、それをどうにかするためにこうしてここまで来たんだ。

「この前、ごめん」

お互い立ったまま、ていうかリビングに入った状態のまま話が進む。

いつもは家に帰ってすぐにすっぴんメガネになる高野も、今日はそうなる素振りも見せない。


「…この前って、何」

「花火大会の、急にごめん」

視線を床に落としたままで、高野の表情が見えない。今お前、どんな顔してんの。

顔が見たいんだけど。

俺、お前とこんな風になるのヤダよ。


「…何で謝るの」

「何だって…嫌だったから避けてんだろ?」

それ以外考えられないっていうか。

だから俺もよく分かんないし、思ってもない展開だなって感じなんだけどさ。

何で謝るの、って、何だよ。

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