らしくないけど
「俺ほんとに親の気分なんだけど」
「白城くんってバカだよね」
「俺も思う」
白城がそう言う気持ちが少し分かってしまう俺も相当バカだと思う。
俺にとって…っていうか俺らにとって、咲良はいつまでも少し危なっかしくて、大事にされるべき存在って感じで。
「…幸せになってね、茉央」
「うん、ありがとう」
妹みたいな存在だってきっとみんな思ってる。
だからだろう。ここにいる白城も高橋も俺も、この状況でやっと実感してほっとした。それがお互いに分かるような雰囲気。
「そういえば中村さんと吉野先生は?まだ見かけてねえけど」
「うん、あたしのとこにもまだ来てないけど。さっき連絡来てた、ちょっと遅れるんだって」
「そ、めずらしいな」
こんな会話をしてたら、今日咲良の結婚式だってことを忘れそうになる。
いつもみたいな当たり前の会話。
コンコン、てノックの音がして、その会話も止まる。
咲良の顔がフワッとほころんで、ドアが開いた向こうにいたのは、咲良が今日一番この姿を見てほしかった人が立っていて。