らしくないけど

それを見てると、思い出すのは高野の顔。

ここにあいつがいたら、多分張り切ってブーケ取りに行くんだろうなって。

それで多分、ちゃっかりゲットして戻ってくるんだ。「加地くんとったよー」って、めちゃくちゃ笑顔で。

……やっぱり、会いに行こう。

会って、ちゃんと言わなきゃならないことがある。


「お、取った」

「はー?ちょっと待って中村さん、何してくれてんの!」

「いや俺じゃねぇ、取ったの智美な」

「いやまあそうだけど」

決してがっついてたわけじゃない吉野先生の手元に、綺麗に収まったブーケ。

咲良も高橋も笑ってるからいいんじゃねぇの。


「加地ー、披露宴だって。行こうぜ」

「…先行ってろ、後で行く」

「そ、早く来いよ?」

「おー、すぐ行く」


……ビックリするよな、高野。

あれ以来話してないし、会えてもない。

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