らしくないけど


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昼休憩を終えて帰ってきた高野は、座るなりため息をついて疲れたー、なんて言ってて。

何で疲れんだよ。

昼飯食いに行っただけじゃん。

なんて言葉は、喧嘩の元になりかねないから心の中だけにしとく。

そういえば余所行きだったんだっけか。財布ちゃんと持って行ってたみたいだし。


「加地くん?」

「あ?」

「うわー、怖い顔」

なんて言いながら俺のデスクにポンと何かを置いた高野。

よく見ればそれは俺がこの前こいつに買ってきた砂糖菓子の色違いで。俺はこの前こんな風にこれを買ってきたんだって思ったら何だか笑えた。


「何、前の店行ったわけ?」

こんなもん急に渡されたらそりゃ笑うわ。

「うん。この前加地くんが食べてたの美味しそうだったし。そしたら色違いがレジの前に置いてあってさ、思わず買っちゃったよね」

山田と昼食いに行ったのに?

お前それ、聞かれたんじゃねーの?

そういうの好きなの?って。

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