らしくないけど
「加地くん、コーヒー淹れてくるけど加地くんもいる?」
「あー、うん。いる」
「りょうかーい」
給湯室に向かった高野。いつも通り俺の分も淹れてきてくれるみたいで、それをボーっと眺めていてふと誠二の言葉を思い出す。
…給湯室のこと忘れてたわ。
そういえば内装も覚えていないほど言った覚えがないし、高野がいないときは行ってまで飲もうと思わないし。
…行ってみるか。
高野が出て行ってすぐ俺も給湯室に向かう。
どこだっけ。
なんて思って探そうと思ったけど、わざわざ探すまでもなく場所が分かったのは高野の声が聞こえてきたから。
こんな近くにあるんだな。
小さいけど女の声で、片方は多分高野の声だった。
「それ、あたしじゃなくて加地くんに言ってくださいよ」
誠二が言ってた通り、高野はこうしてここで俺のことで言われることがあったんだろう。