らしくないけど
「言えよ、お前」
「言えよって…そんなに気にしてもなかったし、わざわざ加地くんに助けてもらわなきゃなんないほど乙女じゃないからねー」
そう言って笑うと、俺のデスクにコーヒーを置いてさっき食べてた砂糖菓子を再び口に放り込む。
「咲良ちゃんだったら間違いなく、加地くんみたいなナイトが必要だろうけどね」
「お前会ったことねーじゃん」
「そのくらい加地くんの話ぶり見てたら分かるよ。きっとお姫様みたいな子だったんでしょ?」
何となく分かってるとこが腹立つな。
確かに咲良は高野と違って無意識なお姫様気質だったけど、助けなきゃどうにも出来ない弱い人間でもなかった。
ちゃんと一人でも立っていられるやつだった。
「まあ、とりあえずありがと」
「どういたしまして」
「加地くんが来るとは思わなかったなー」
「俺じゃ不満かよ」
「いや、流れ的に加地くんじゃなきゃ解決しなかったと思うけど?」
「そりゃよかった」
お礼にと高野が差し出した砂糖菓子を一つ口に放り込むと、確かに甘くて。
俺があげたそれを礼にと差し出してくる辺り、やっぱり助けなくてもこいつはいつか自分でどうにかしたかもしれない、なんて思って、何だか笑えた。