らしくないけど

「あー、はい。ちゃんと待っててよ?」

「分かってるって」

鍵を受け取ってソファに座ると、高野は「自分の家かよ」なんて言って笑って部屋を出て行った。

意識的にはもう自分の家と変わんねー。


「加地くーん」

「あ?」

「これとこれさー」

すぐに戻ってきた高野の手には綺麗めのワンピースが2枚。

「何それ」

「え?ワンピース」

「そりゃ見れば分かるわ」


え?山田とご飯食べに行くだけだよな。何その綺麗めなワンピース。どこ行くつもりだよお前。

「言わなかったっけ?」

「何も言ってねーな」

「あれ、そっか。山田くんと駅前のビルのフレンチレストラン行くんだけど、どっちがいいかなーって思って」

駅前のビルのフレンチレストラン?

何だそれ。山田本気じゃん。

こいつもこいつで何でそう簡単に付いていくかなー。

そんでそれに来ていく服を俺に選ばせようとするわけ?

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