らしくないけど

「ねー、どっち?」

ボルドーとブルーで対照的なそれは、多分どっちを着たって高野にはよく似合う。

他の男のために着ていく服を俺が選ぶんだ。

「…俺はこっちが好き」

まあいいけど。

「だと思った」

なんて笑った高野は、それを2つとも持ってまたリビングから出て行った。


えー、マジか。

山田本気じゃん。

フレンチレストランってすげーな。さすが営業部の王子様っていうか、やることがマジで王子様。

相手ガサツな干物女だぞ。

フレンチレストラン行ったからってかんたんに落とせるやつじゃないし、多分酒与えた方が喜ぶようなやつだぞ。


「じゃーん、どう?似合う?」

「お前俺の話聞いてた?」

「うん。加地くんブルーの方が好きなんでしょ?」

そうだよ。俺が指差したのブルーのワンピース。

お前が着てんのボルドー。

何これ、喧嘩売ってんの?

何で聞いて来たんだよ。

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