らしくないけど
「何お前、俺のセンス疑うわけ?」
「あはは、違うよ。こっちのは加地くんとどこか行くときにとっておこうと思ったの。加地くんの好みだしね」
何これ。
今心掴まれかけた。
くっそ、干物のくせに。
「…はいはい。もういいから早く行けよ。山田待ってんじゃねーの?」
「あ、そうだった、行ってくるね。ちゃんと待っててよ?加地くんが鍵持ってるんだからね」
カバンを掴んで携帯やらポーチやらを放り込む。
マジ雑。
「忘れ物は?」
「多分ない!行ってくるね!」
「待てって、俺もコンビニ行くし」
リビングのドアを開ければ、高野が脱いだであろう服がそのままポンと置いてあって。高野はそれを引っ掴むと洗濯機に放り込んだ。
「あはは、忘れてた」
「いつも脱ぎ散らかしてんだろ」
「加地くんが来るときは一応片づけてるんだけどなー」
「今見た。つーか、性格考えりゃ何となく分かるって、たまに服散らばってんじゃん」