らしくないけど
「癖なんだよねー、脱ぎ散らかしちゃうの。ていうか、性格?もう今さら直らないし」
玄関のカギをかけて、それをそのまま俺に渡した。
マジでこいつ危機感ないっていうか、知り合いとはいえこんな風に普通に鍵渡していいのかよ。
何するってわけでもないけど。
「その性格山田知らねーんだろ?」
「まあしっかり見てんのなんて加地くんと誠二くんくらいだしね。別に隠してるわけじゃないけど、2人ほど仲良くないし」
「ふーん、まあいいけど」
オートロックを抜けて、別れる。
「じゃあ、待っててね」
「んー」
何だこのカップルみたいな会話。
振り返ってみれば、高野の後ろ姿が少し遠くなって。やっぱブルーの方が似合うわ。なんて思って少し優越感。
見れるのは俺なんだろ?
容姿がいいからか、綺麗なワンピースを着た高野はすれ違う男の目によく止まるらしい。
すれ違って振り返る男が何人もいて、俺のじゃないけど、あいつ意外と無防備だしなーなんてため息が出る。
山田とのディナーが終わって帰ってきたら言ってやろうと思う。
前と変わった高野の印象と、綺麗だってこと。
…爆笑されるような気がしないでもないけど。それはまあ、許してやろう。