らしくないけど

「え?待って、加地くん…」

「付き合ってねぇから」

「あ、そう…え、でも…」

混乱しすぎこいつ。

「高野、起きろ」

寝ぼけてんのか、山田から離れた高野は何も言わずに家の中に入っていく。

どうすんだ。山田2人残して行くんじゃねーよ。この状況お前のせいだからな言っとくけど。


「…じゃあ、また」

「いやいやいや、ちょっと待って何これ」

「何って…だから、高野に用事があってここで待ってただけだって。別に付き合ってるとかじゃないし」

「……マジかよ、もー…」

「は?何?」

「いや、こっちの話。まあいいや、俺帰るから高野のことよろしく。ワイン初めて飲んだみたいだから」

ワイン初めて?

マジで?


爽やかに笑って帰っていった山田。

山田も何か綺麗めな格好してたし、やっぱりそういう格好じゃないと入れないようなちゃんとしたところだったんだろう。

やっぱ山田ガチじゃん。

酔っぱらって帰ってきてるし、多分ガサツな部分も見たはずなのに。山田の態度は変わっていないように見えた。
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