らしくないけど
「…おいこら」
頭の中を整理してリビングに戻る。
そんなに山田と話し込んでたわけじゃないのに、高野はワンピースから部屋着に着替えてるし、すっぴんではないけどメガネかけてるし。
何だよ、速攻オフモードか。
「あー…頭痛い…」
「何やってんだよお前、ワイン飲んだことねーならガバガバ飲むんじゃねーよ」
「だって何か緊張して……ダメだ、ああいうとこ苦手」
「バカじゃねーの」
何となく分かるじゃん。お前ああいうとこ向いてないよ。
ソファに座る高野の隣に座れば、高野はグラスを俺にズイっと差し出した。
「何だよ」
「あたしも飲む」
「は?いけんの?」
「余裕。加地くん待ってくれたし、これは飲まなきゃね」
あいにく明日も休みで予定もない。
歩いて帰れる距離だから終電の心配もないし。こんな時間になるとは思わなかったけど、せっかく来たし付き合ってやろうと思う。
どうせ俺が帰ってもこいつ1人で飲むと思うし。
それなら誰か隣にいる方がいいだろ。