らしくないけど
「加地くんさ、気づかないなんて鈍感だよね」
「いや、お前に関しては気づく男の方がすごいと思うけど。俺そんなに自意識過剰じゃねーし」
こいつ俺のこと好きかも、なんて、高野の場合は特にそんなことを思うこともなかったし。
「つーか、いつから?」
「そんなの覚えてないけど」
「高野モテるじゃん、何で俺?」
高野の家にあるDVDを勝手に探ってデッキに入れる。
正直大体のことは好みが合うし一緒にいて楽だし、最初ここに来た時も何の違和感もなく居座ってたし。何なら今では勝手に来てしまうくらいにはなってるし。
「んー…、あたしが知ってる男の人の中で一番優しくて、大事な人をちゃんと大事に出来る人だから。表に出さないだけだよね、加地くんは」
「は、優しいとか言われたことねー…」
…あったわ。
前に咲良に言われたんだっけ。
「ちゃんと加地くんのこと見てくれてる人はきっと気付くよ。まあ、それだけが理由じゃないんだけどね」
「…ほんとに俺のこと好きなんだな」
「何、疑ってたの?」
「いや、好かれてるように感じなかったし。飾る感じでもなかったし。お前最初からこんなんだったじゃん」
最初から素だった。
こんな性格も隠すことなく俺に見せた。