らしくないけど
「で、どうよ?」
「どうよって何だよ」
「これを聞いて」
さりげなく目をそらして部屋を見渡せば、放り投げてると思っていたワンピースはきちんとハンガーにかけてあって。
それを見て何だか違和感を感じるくらいに普段のこいつのイメージはガサツなんだなと改めて思ったりして。
「…まあ、一回くらいならあのブルーのワンピース着ていくような店に連れてってやるよ」
俺はやっぱりあっちの方が似合うと思うし。
それは俺のためにとっておくって言ってたし。もう連れて行くしかないだろ。
「あら珍しい。大抵ここで飲もうって言ってくるのにね」
「俺のためのワンピースなんだろ?」
「あはは、どこの俺様よ」
いつもはどうってことない高野も、今日は初めてワインを飲んだからか頬が赤いし何だか眠たそうで。
飲むペースは変わらないものの、今日は俺より先に潰れるんじゃないかって。
…お前こそ珍しいよな、やっぱり。
「咲良ちゃんはきっと、ピンクのふわふわしたワンピースがよく似合うんだろうなー…」
バカか。お前写真でしか見たことねーくせに。
「似合うだろうけど、多分選ぶなら高野と同じようなやつだよ、多分」