らしくないけど

俺お前が帰ってくるまでちゃんと待ってたんだけど。

「あ、鍵…」

帰ってきてまだ一時間も経ってないって言うのに、俺が注いでやった酒を少しだけ残して高野は完全に寝てしまった。

仮にも好きな男この時間まで待たせといて寝るか普通。

何か幸せそうな顔してるし。

俺鍵預かったままだし、家主が寝てしまった今これをどうするべきか。


「おいこら」

真っ白で透き通った肌を摘まめば、高野は一瞬眉間にシワを寄せたけどそのまま眠り続ける。

絶対起きないこいつ。

つーか化粧したまま寝んの?

それ女子としてどうよ。

まあそれを落とすことはさすがに出来ないけど、ベッドまで運んでやるくらいなら。なんて思ってグラスを置いて高野を持ち上げる。

 
「かる…」

持ち上げた高野は思いの他軽くて、遅くまで酒飲んでることが多いのにこの軽さは何なんだ。前に家系的に太りにくいんだとは言ってたけど。

自炊もしねーくせに。

女子の敵だなこいつ。

今日は聞きたいこともあったのに、山田とフレンチレストラン行くわ帰ってきたら寝るわで予定狂いまくりなんですけど。
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