らしくないけど
ライバルは王子様
「……何だよ」
「加地くんとちゃんと話したことなかったし、ちょっと聞きたいこともあるからさ」
そう笑顔で言った山田に少しげんなりしたのは、静かな場所を探してここにきたのに寄りによってこの爽やかの
塊に会ってしまったからだろう。
「そんな顔しないでよ」
思い切り顔に出てしまったにもかかわらず、山田はいつもと変わらない笑顔で俺を見る。
沸点低いって聞いたけど、ほんとにそうなんだな。
「聞きたいことって?」
俺を追いかけてここに来たわけじゃなくて、たまたま見つけて来ただけだろうからまあいいんだけど。
多分聞きたいことっていうのは高野のことだろうし。
「ああ、高野のことなんだけど」
この前高野の家の玄関で山田に出くわしてから、しばらくすれ違うこともなかった。
多分あの日からずっと気にはなってたんだろうけど、部署が違えば会わない日なんて珍しくないし。
「付き合ってはないんだよね?」
「付き合ってない」
「そっか。よかった、それ直接聞きたかったから」
何となく一瞬思い出したのは蓮くんの顔。
あー分かった、こいつちょっと蓮くんに似てんだ。