らしくないけど
「うるせー」
「あはは、怒られた」
もうこいつは俺の中で完全にライバルって位置づけになってるんだろう。多分無意識に。
「じゃあね、俺戻るわ」
それが何を意味するのかっていうのは、俺もバカじゃないから分かる。
「あ、高野」
「何?」
「良かったら今度またどっか行こうよ。俺美味しい店探しとくし」
…何だ。何がキッカケだ。
隣にいるこいつが山田の言葉に頷いたのを見てイライラしてんのは、それが気に入らないから。
「…ばーか」
「え?」
山田が歩いて行ってしまったのを見て俺の隣を歩きだした高野。
「待って、今ばかって言った?」
「言った」
「何でよ。あたし加地くんにばかって言われるようなことしてないと思うんだけど」
「…連絡先交換したことも覚えてないんだもんな」