らしくないけど
「あのさ、加地くん今日空いてる?ご飯行こうって言ってて良かったら…」
「あー、わり。今日先約あるから」
「…そっか、じゃあまた今度」
こうして誘われることはよくあるけど、こういう誘いは女子しか来ないって1回目で学習した。その1回目もすげーめんどくさかった。
だからもう会社が開く飲み会以外でのここの女からの誘いは基本的に断るし、それはこの女も知ってるはずなのに。
「あー…、うん。また今度」
とは言ったものの、多分そのまた今度なんてない。
一度目のそれは携帯忘れた、で乗り切れたけど、二回目になればそれも嘘だってバレるだろう。
教えて連絡が取れるようになったらさらに面倒だってことは、ちょっと考えれば分かる。
デスクに戻ると高野はもう戻ってきてて、俺が座るなりニヤニヤした顔で見てくる。
「…何だよ」
「いや、モテモテだなーって」
ちょっとバカにされてんのが腹立つな。
それが伝わってくる感じも絶対わざとで悪意感じるし。