らしくないけど
「何かあった?」
「…別に。つーか俺も頑張るって言ったじゃん」
「あー…言ってたね。頑張ってんの?」
「頑張ってるつもりなんだけど」
何に対してとは言わないけど。
…だって多分ここでそれを言ったところで、こいつはそれを本気では受け取らないし。それに関しては今までの俺のせいだから仕方ない。
「そっか、何か分かんないけど。加地くん途中で投げ出したりしないだろうし、頑張ってね」
高野がそう言った時、テレビから最近よく聞くラブソングが流れてきて、画面にはさっき見たばかりの映画の予告。何か無意識にイラッとしたりして。
咲良が言っていた俺に似てたっていうのはこのどう見ても口の悪そうなこの男のことだろう。いやもう展開的に絶対振られんじゃんこいつ、頑張れよ全然関係ねぇけどさ。
「だから、眉間」
無意識に寄っていたであろう眉間をまた高野にドンと突かれてまた頭がグラッと衝撃を受ける。
「…頭持ってかれんだけど」
「そんなに強くないですー」
「フラッと来るわ」